部品が割れたり、破断したりすると必ず2つの新しい破断面ができます。
この破断面には壊れた原因の記録が残されています。
今回は破断面に残された破断原因の記録の調べ方をわかり易く解説します。
今まで全く破断面解析の経験がない方でも
すぐに実践することが出来ます。
ぜひ最後まで読んで試してみてください。
まず、巨視的な観察
金属の丸棒の破断を例に解析手順を順に解説するよ
破断面の原因を調べる際、まず第一にすることは巨視的な観察です。
顕微鏡で細かく観察するのではなく、全体を見ることです。
木を見て森を見ずはダメだよ。
破断面解析の第一歩は、
視野を広く全体を見ようね
巨視的観察では、以下の2つのタイプのどちらかを見極めよう。
タイプ①:変形を伴う破断
金属が変形を伴って破断しているのがこのタイプの特徴です。
金属はある一定以上の力を加えると元の形状には戻らない変形を生じます。(塑性変形)
破断面を起点に変形している場合、その変形の向きを確認することで、どのような向きに力が加わったのかを知ることができます。
このような変形を伴った破断は、延性破壊と判断できます。
イラストのように金属棒が延性破壊した様子を
変形の向きから時系列に予想すると次のようになるよ
変形を伴う破断(延性破壊)の破断の時系列予想の事例
1)変形している2つの破断面のそれぞれの変形方向を目で確認する。
2)例の場合、2つの破断面の変形方向は赤い矢印になります。
3)変形の方向の逆の方向が力の加わった方向になります。
4)力の方向が分かったら破断前の金属棒に力の方向に力が加わったことを想像してみます。
5)丸棒の両端に反対方向の力が加わることで、中央部が少し伸びて、径が細くなりなりだします。
6)一旦、径が細くなると、細くなった箇所の強度は低いので、どんどん伸びて、細くなっていきます。
7)最後には力に負けて、破断してしまいます。
破断部の状態だけで、丸棒の破断が、このような流れで変形を伴って破断したことが分かります。
タイプ①:変形が無い破断
丸棒自体に変形はなく、刃物で切ったようにスパッと切れたような状態で破断しているタイプです。
このようなタイプの破断になる原因はいろいろあります。
このタイプの原因をさらに調べるためには、顕微鏡などを用いて詳細に破断面を観察する必要があります。
変形のない破断面の詳細観察について
以下の調査フローに従って調査をすすめると、
破断原因がわかるります。
微視的(ミクロ)観察でわかること
微視的(ミクロ)な観察で知ることができることは、巨視的(マクロ)な観察で知ることができる情報とは全く異なります。
以下の図は、髪の毛ほどの太さの金属線の断線部をミクロ観察(電子顕微鏡で観察)した写真です。
この破断面をミクロ観察することで分かることは、
①破断が始まった箇所と最後に破断した場所
→破断面をミクロ観察すると、判断が始まった箇所と最後に破断した箇所を知ることができます。
写真を例に説明すると、矢印の終端部から破断が始まり、矢印の方向に破断が進行して、○印の箇所で最終的に破断したことがわかります。
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